釜ヶ崎の希望と絶望
Posted on January 18, 2012
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今日は、私たちの食糧支援の車が大阪府西成区、釜ヶ崎地区に向かいました。「銀座通り」と名付けられた通りは、その名の通り長年西日本において夢が生まれ、そして打ち消えていった場所でした。また、中流層に属す日本人の新スタッフにとって、その地を見るのは衝撃的な経験でした。
彼らのコミュニティの一部でありながら、しばしば無視されたり、ただ列車が通過するときに見える場所として捉えられいるその地。釜ヶ崎は最大の日雇い労働者街であり、またそこにはホームレスの人々が数多く暮らしています。
ホームレスの割合は日本最高です。長年、学校に通っていない若者が高い日給を得るためにここに集まってきます。多くは日雇い労働で、給料は当日の現金支給です。
毎朝企業のトラックやバスがこの場所に来て、建設・輸送や工場労働のための労働者を雇い現場へ連れて行きます。
夕方になると、トラックは幸せな顔をした人々を連れ帰ってきます。彼らは、普通の仕事よりも良い稼ぎを手にします。
ギリシア神話に登場する船を岩に誘惑して水没で船員が死にいたったセイレーンのように、多くの若い男は無保険のため、そして稼ぎのために、難破した生活に誘い込まれます。やがて彼らは膝や背中を悪くし、もうバスには乗れなくなって収入が途絶え・・・
日雇い労働の最も残酷な展開の一つは、いつものような建設現場での労働だろうと思っていた多くの労働者の行き先が、実は福井県の原子力発電所であった、などという展開でしょう。或いは最近では、だまされてあの福島第一原発で働かさせられる、といった状況でしょうか。しかし、二時間働いて得られる日当で暮らしが楽になるのです。「核の銀座」という興味深いドキュメンタリーがあります。これは日本人写真家の樋口健二によって制作されたもので、以下で見ることができます。
バイリンガル・ドキュメンタリーNuclear Ginza
60、70年代の経済成長や80年代初頭のバブル経済の陰で、現在の釜ヶ崎地区の平均年齢は50歳を超えています。少し前に新しくやってきた元気のある若者たちは、その多くが高齢になり背中や膝を悪くしています。彼らに将来の楽しみなどは何もなく、ただ困窮と孤独に衰える日々です。
この日雇い労働者のたまり場が日本のすばらしい経済成長を根底で支えてきたのではないのですか?今日の近代的な社会基盤は彼らの重労働の産物ではないのでしょうか?この景気低迷期にあって、これほど社会に貢献してきた彼らのことを忘れかけていませんか?誰もが栄養のある食事を得るに足る存在なのではないでしょうか?
コズモズはそう考えます。私たちは私達皆のために一生懸命に働いた彼らのことを忘れません。来週も同じ場所に行きます。なぜなら単にそれが、やるべき正しい行いであるから。コズモズがコミュニティーの支えであり続けるために、コズモズの活動に対する変わらないご支援をよろしくお願いします。
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